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【特集 南部鉄器】 --鉄瓶の製造からお手入れ方法まで--南部盛栄堂
伝統と確かな技術によって磨かれ伝えられた南部鉄は、本物志向と伝統的な和に対する再評価により、大変人気が高まっています。このページではその南部鉄器の魅力を少しだけ紹介してみようと思います。
【南部鉄瓶ができるまで】
【1.型押し工程】
砂を固めた鋳型を作り、文様をかたどっていきます。整然と並ぶアラレ文様は、全て職人の手作業によるもの。これぞ職人技です。
【2.鋳込み(注湯)工程】
底になる部分を上にして湯(溶けた鉄)を流し込みます。溶けた鉄の温度は約1450℃位だそうです。
【3.釜焼き工程】
酸化被膜を焼成する工程です。800から900℃で1時間炭火で加熱することにより、サビを防ぐ被膜を作ります。

※一般に市販されている他社メーカー様から販売されているの安い南部鉄瓶の中には、この段階を省いているため普通より錆びやすくなっている物もあるそうです。
【4.漆焼き付け工程】
表面に漆を焼き付け、南部鉄独特の色合いを出していきます。これまでの全ての工程を終えて完成です。

※ご覧の通り全ての工程が熟練職人の手作業によるもので、とても手間ひまを掛けた自慢の逸品です。


【南部鉄瓶のお手入れ方法】
・新品の鉄瓶は、

 まずは水を沸かします。沸かしては捨て沸かしては捨てを2〜3回繰り返してください。
・使い終わるたびに
 残ったお湯は全部空けます。
 フタを取ったまま余熱で水分を蒸発させて下さい。
 また水分が残っている時は、軽く空焚きして内部を乾燥させてください。

 ※長い時間空焚きするとせっかくの酸化皮膜が取れてしまう恐れがありますのでご注意下さい。
・表面のお手入れ
 ツヤ出しにはお茶が効きます。
 鉄瓶が余熱でホカホカしているうちに、お茶を浸して軽く絞った布で磨いて下さい。
 独特の光沢が生まれます。

 ※内部を強くこすったりするとサビの原因になりますのでご注意下さい。
・もしサビてしまったら
 小さなサビはお茶を浸した布でこすり落としてください。
 内側のサビがひどい時は、サビを歯ブラシなどで落とした後、茶殻で処理しましょう。
 ダシ取用のパックに茶殻を詰めて、内部が黒くなるまで煮詰め、火を止め3時間ほど放置します。
 水が黒くなりますが、これはお茶の成分のタンニンと鉄分との反応ですので心配はいりません。
 うっすらと鉄瓶内部に黒い被膜がつくことでサビを防ぐ効果が期待できます。
 後はお湯を何度か沸かしては捨て、お湯がきれいになってからお使い下さい。
・本当は鉄瓶内部をこすってはいけない!!
 鉄瓶内部は製造工程の中でサビを防ぐ被膜をつけています。
 手を触れたり、こすったりすると被膜の効果が薄れます。
 ただし、お湯が赤く金気臭いような場合に限りブラッシングのような方法を使用し、その後茶殻で
 処理を行います。
 
 普段は絶対にこすったりしないで下さい。

 南部鉄瓶は、お手入れの仕方によっては半世紀にわたり使い続けることができる逸品です。
 まろやかな味わいを楽しみながら、自然な鉄分補給にどうぞご使用下さい。

   

【南部鉄瓶の特徴】

南部鉄器は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律により、経済産業大臣が指定した伝統的工芸品です。 ちなみに国の伝統工芸品指定第一号は、なんと・・・南部鉄瓶!
※伝統的手法で作られている鉄瓶には全てこの伝統工芸品のタグが付いています。→
南部鉄瓶や南部鉄鍋でお湯を沸かすと、鉄器からの自然に抽出される程よい濃度の第二鉄イオンが毎日の鉄分補給にとても役立ちます。この第二鉄イオンは(2価の鉄イオン)はとても吸収率が良く、微量でも鉄分補給に効果があると言われています。
南部鉄瓶でお湯を沸かすと、水道水の塩素臭などが抑えられ、お湯をまろやかにし、お茶の味や調理した食材が一段と美味しくなります。
日本茶だけでなく、コーヒー・紅茶・中国茶なども、鉄瓶を使うことにより一層、美味しくいただけます。
赤ちゃんのミルクを溶かすお湯としてもおすすめです。

〜上手にお湯を沸かすためのワンポイントアドバイス〜


  @一晩汲み置いた水を沸かす直前に鉄瓶に移します。
  A沸かす際、鉄瓶の蓋を取った状態で3分程沸騰させることで、塩素臭が抜けすっきりとまろやかになります。


 ★鉄瓶は使い込むほどに内部に“ 湯あか ”が付着していき、赤さびをより抑えてくれる効果があります。

湯あかは水に含まれている様々なミネラル分が沈着したもので、沸き上がったお湯がすっきりとおいしく感じられるのはこのためだと考えられています。
鉄瓶内部全体に湯あかが付く頃には赤さびの心配が無くなり、程よい鉄分が含まれたお湯を服用することができるようになります。湯あかはサビ止めの役割もしますので無理に洗い流さないで下さい。


【南部鉄器の長所】
1. 冷めにくい

鉄という金属は、いったん溜め込んだ熱を簡単には逃さない性質を持っています。アルミなどに比べてずっと保温性が良いので。すき焼鍋やステーキ鍋などの熱さを生かすものには最適と言えます。

※鋳物の鍋が冷えるのには、アルミ鍋の約1.5倍の時間が掛かるそうです。


2. 温度ムラがない

保温性のよさは揚げ物などの時、油に温度差ができにくいということでもあります。温度ムラがあっては料理は美味しくできません。鋳鉄器は熱が均一に伝わるので、美味しく仕上がるのです。



3. 焦げつきにくい

鉄器表面は細かい凹凸で覆われています。これは鋳型の砂目が写し取られたもので、ここに油が浸み込み、更に加熱された空気が入り込むことで焦げ付きを防ぐ働きをします。鉄器は使い込むほどに油のなじみが良くなります。

※洗剤はなるべく使わず、温水とささらで汚れを落すのが鉄器を良い状態で長持ちさせるコツです。

   


【鉄器で貧血予防】
1. はじめに

鉄分は体にとって無くてはならないもの。何となく体がだるいとか、頭がすっきりせず、めまいや立ちくらみがする・・・などの表情が現れたら危険信号。鉄欠乏から来る貧血かもしれません。


2. 鉄器で鉄分補給

調理の際、鉄器上面から溶出する鉄分は吸収率の良いイオン状態になっています。食品中の鉄分にはこれより吸収率の劣るものもあるくらいです。右の表は「ザ・鉄玉子」での鉄分の溶出量を測定したものです。必要摂取量を一度に補うものではありませんが、日頃から鉄器を使うことは、貧血予防の上でおいおいに効果的であると言えるでしょう。現に鉄鍋や鉄包丁を今よりも用いていたころは、貧血になる人がずっと少なかったとも言われているのです。

※鉄鍋での調理にケッチャプやレモン汁、酢や味噌などの酸味の強い調味料を加えると、更に多くの鉄分が溶出することが確かめられています。

S62.12.23
「ザ・鉄玉子」1ヶを入れたやかんで水1gを沸かすと
沸騰時 ・・・・
・3分後 ・・・・
・10分後・・・・
0.042mg
0.050mg
0.069mg
 岩手大学教育学部   .
  及川桂子助教授測定

3 血の赤は鉄の色

人間の血が赤いのは、赤血球に鉄が含まれているからです。背血球は肺で酸素を受け取り、血管を通って体内の細胞の隅々まで酸素を運んでいきます。赤血球が正しく働くためには鉄分が必要です。
もし鉄分が少ないと、赤血球の働きが弱まり、志望の活動がその分だけ抑えられてしまいます。貧血の様々な症状はこうして起こるものなのです。


4. 女性に多い貧血

女性は男性に比べ、生理などで血を失いやすく、また妊娠中は胎児の成長に伴い、血液の量が増えるためより多くの鉄分が必要になってきます。理想的な出産のためには日頃から鉄分の摂取を心がける必要があります。

※成長期の子供でも鉄分の必要量が増大します。


【鉄器の豆知識】
カシューナッツから採る漆!

鍋やフライパンなどに塗られているのはカシュー塗料といい、お菓子などでよく聞くカシューナッツから抽出した天然樹脂塗料です。もちろん人体には無害の天然成分で、日本の漆とほとんど同じ性質を持っています。

使い始めの時にこの匂いが気になる場合は、空焚きを十分に繰り返し、さらに香の強い野菜(生姜やネギなど)の切れ端を何度か炒めていただければ匂いを消すことができます。



タンニン鉄の効用!

鉄鍋に料理を入れておいたまま冷やすと、真っ黒に料理が黒ずむ場合がございます。これは具の中にあるタンニンという植物成分と鉄が化合して黒色のタンニン鉄になった場合であると考えられます。タンニンは渋とも言われ、茶や柿の渋味の元ですが、ほとんどの植物に多少なりとも含まれているものです。

これを利用したのが、茶殻による鉄瓶のサビ止めです。茶殻を煮立てることで鉄瓶内部にタンニン鉄の被膜を作ってサビの進行を抑えるのです。

てつは金属の王者!?

古代日本の人々は豊富に産する砂鉄を、“たたら”と呼ばれる炉で溶かし、様々な形に変えて役立てていました。それらは権力の象徴として、祭器や武具に用いられていましたが、次第に生活の道具としての地位を占めるようになっていったのです。何よりも丈夫で長持ちすることが、鉄器の大きな利点でした。

鉄という文字を、“金の王なる哉(かな) = (てつ) ”と記していたことからもその重要性がうかがえます。

   

【風鈴の豆知識】
風鈴のはじまり

風鈴は仏教渡来と共に日本に来た!

元々中国の寺院では、お寺の魔除けとして、お堂のひさしの四隅に風鐸(ふうたく)を吊るしていました。風鐸とは、青銅製の鐘形の鈴で、釣鐘を小さくしたようなもの。今でもお寺などでよく見かけます。

この【風鐸】が時代と共に【風鈴】に姿を変えて広まっていったそうです。
風鈴の音色は【魔を払う】

夏に風鈴を吊るす風習の始まりは、「風鈴の音が魔を払う」という伝承が由縁だそうです。

昔の日本は医療が発達しておらず衛生環境も悪く、夏になると疫病が流行し人々は苦しんでいたました。
そんな厳しい夏に「厄除けの気持ち」を込めて風鈴を吊したのが始まりだそうです。

その効果は、風鈴の音が届く範囲で有効!

風鈴の歴史を知っておくのも風流かもしれません。


※風鈴の音色はこちら>>南部鉄風鈴
夏の風物詩

涼を呼ぶ粋な小道具 南部鉄風鈴

日本では古くから愛され、親しまれている夏の風物詩で、「残したい日本の音百選」に南部鉄風鈴の音色が選ばれています。

一方、アメリカでは「ウンドベル(wind-bell」と呼ばれ、日本と同様にその音色は多くの人々に愛され、日本からのお土産として特に喜ばれているそうです。



【鉄器 Q&A】
Q 鉄瓶にお湯を残して1晩置いたままにしてしまい、サビつかせてしまいました。お湯も赤く金気がひどいのですが・・・・。
 A お茶ガラで処理しましょう。だし取り用の紙パックにつめた出がらしの茶葉を煮詰めると効果的です。すぐにお湯の色が黒くなり、やがて鉄瓶内部も黒くなったように色が変わります。後はお湯を何度か沸かしては捨て、きれいにしてからいつものようにお使い下さい。たかが一晩でもサビは発生しますので、必ず使用後は余熱で水分を完全に飛ばすようにして下さい。

※フタの部分や鉄瓶の表面にポツポツとサビが出た場合は、お茶で湿らせた布でこすり洗いすると効果的です。

Q 買って間もない鉄瓶ですが、内部が赤くなってきました。使ったらちゃんと乾かしているのに・・・。しかも、白い“湯あか”が付き始めました・・・。
 A お湯の味が金っぽくなっていなければ、そのままお使い下さい。“湯あか”が付く前は、一時的に全体が赤褐色に染まります。そして、次第に白い“湯あか”に覆われていきます。
10日目辺りから徐々に口先や蓋の周囲に付き始め、鉄瓶内部全体に“湯あか”が付く頃には、赤さびの心配が無くなり、程よい鉄分が含まれたお湯を服用することができるようになります。湯あかはサビ止めの役割もしますので無理に洗い流さないで下さい。

Q 鉄瓶を冬の間だけ使おうと思っています。どのように保管したらいいでしょうか?
 A 空焚きをして水分を完全に取り去ってから、紙に包んで乾燥した場所にしまってください。吸湿性が良い新聞紙をお使いになると効果的です。
もし新聞紙に包まないでそのままの状態にしておくと、気づいたときにはサビだらけになってしまっていることもありますのでご注意下さい。

Q 200V IH対応の鉄瓶と普通の鉄瓶はどうちがうのですか?
 A 両者の大きな違いは底の部分の厚みにあります。手作りの鉄瓶は、肉厚を薄く作ることにその特徴がありますので、200V IHの強い熱源でのご使用には無理があります。長年無理に使用し続けると目には見えない歪みや変形が起こるそうです。一方、200V IH対応の鉄瓶は200V IHクッキングヒーターの強い熱原にも耐えられるように底の部分を肉厚に仕上げてあります。もちろん手作りの鉄瓶でも200V IHの熱源に反応してお湯を沸かすことができますが、どうしてもという場合はごく小パワーにてゆっくりお沸かしいただきますようお願い致します。鉄鍋についても同様に小パワーにてご使用下さい。

Q 天ぷら鍋は天ぷら専用のものでしょうか?
 A 私たちは鉄という素材を使いやすい形にして提供しているだけですので、後は皆さんの創意工夫次第です。天ぷら鍋とうたっているものでも使い方はいろいろあると考えられます。その他、煮込鍋やごはん釜、中華鍋なども様々な用途でご使用になれます。鉄器を生かしたいろいろな料理に挑戦してみてください。

例:南部ごはん釜はご飯だけではなく、煮込み鍋としても利用できます。その他:味噌汁やチーズフォンデューの鍋としてもご利用できますので多種多様にお使い下さい。。
Q 鉄器の灰皿にサビが出てしまいました・・・
 A サビが落ちるまで乾いた布で磨いてみてください。仕上にはワックスを軽く掛けるといいでしょう。鋳物のサビは粉が吹いたように表面に出るだけで、内部にまで進むことはほとんどないそうです。お茶で湿らせた布で磨いても効果的です。独特の光沢が生まれます。
    鉄器Q&Aの続きはこちら>>
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